第9条の足枷


あえて卑近な言い方をする。雄が雌を護らなくなった種族は死に絶える。他の種族のオスに守ってもらっていると、その種族に乗っ取られる。

日本の存続にとって危険極まりない第9条の枷は、アメリカにとって、「太平洋はアメリカの池」「日本はアメリカのモノ」という事実を確立した偉大な業績の証である。

「自衛」を放棄する国が、この世の中に存在するとは......。


占領後、日本の最高裁判所が「自衛隊は違憲でない」と仄めかしているが、そのような軽薄なこじつけ論理で日本国を司ろうとしている日本政府と司法界が、日本をいじけた弱者にしている。


無抵抗の罠


第9条を生んだ「精神」は、自己防衛のための武力も禁止したのだ。

無抵抗(第9条)が最も有効な防衛手段であると唱えた勝者マッカーサーの譫言を盲目的に信じ込んだ吉田首相と日本国民は、平和を心より望んでいたのだろうが、あまりにも無邪気であった。

その場凌ぎの目先勘定だけで逃げ切ろうとしたのだろう。

その「逃げ」のツケを、既に半世紀以上も日本国民は支払わされている。


二枚舌外交


第9条の下、平和教育を受けた日本の政治家たちの指導者としての評価は、彼等がいかにアメリカの国益に日本の政治・経済を擦り合わせることができるかで決められている。

アメリカを怒らせず、日本国民にはアメリカの国益どおりに動いていないと見せかけながら、アメリカに隷属を続ける才能が、戦後日本でリーダーシップとして高く評価されている。