大阪であった試飲会で205種。かなり強烈な個性のワインが多かった。
どれも生き生きした素晴らしいワインばかりです。その中でもバランスの良いワインを選びました。
(*で示した部分が記憶の端的な僕の試飲の感想です。)
ドメーヌ・ドー
「ピレネー山脈の麓にあるこの地の標高は420m。大西洋からの冷風「セルス」も吹き入れる、南仏で最も冷涼なぶどう産地です。土壌は大小の石が転がる粘土石灰質土壌で、ブルゴーニュに類似しています。醸造も基本的にブルゴーニュ流ですが、南仏の陽光を受け、こちらのぶどうの方が糖度が高くなりますので、マロラクティック発酵を50%でストップしたり、樽醸造の比率や熟成期間を抑制するなどのアレンジを施しています」。
'23ドメーヌ・ドー ピノ・ノワール ロゼ¥2.860-
(辛口)IGP Pays d’Oc。ピノ・ノワール100%。ピレネー山麓の標高420メートルの畑より。石の多い粘土石灰質土壌。平均樹齢25年。直接圧搾法によるロゼワインです。ステンレスタンクで醸造。
*くせがありません、素直な味わい。
ジャニソン・バラドン
「ブルゴーニュでの6年間の修行中に、当時のシャンパーニュに欠けていた多くのことを学びました」というシリルは、古樹(30年以上)を尊重する栽培、小樽による発酵・熟成、「単一品種・単一区画・単一ミレジム」キュヴェの商品化といったブルゴーニュの常識をシャンパン造りに取り入れ、品質を大きく向上させました。
NV ジャニソン・バラドン ヴァンドヴィル ¥9.460-
(辛口)ピノ・ノワール50%、シャルドネ40%、ピノ・ムニエ10%。平均樹齢35~40年。2~3年間ビン熟成。ヴァン・ド・レゼルヴの約10%はブルゴーニュ製樽で半年間熟成。ドザージュは約8g/l。
作品名は、シリルの祖母の名前Violette Vendevilleから。おばあちゃんっ子だったという彼は、「家族愛が何よりも大切」というメッセージを込めて、このハートラベルを自らデザインしました。
ポワロン・ダバン
マス・オネジム
ご紹介する「ジュール・フリュイ」は、「マス・オネジム」のすべてのエスプリを結集して2021年に誕生した旗艦作品です。「ジュール・フリュイ」とはビオディナミカレンダーにおける「果実の日」のことで、ラベルに描かれた「火のエレメント」の星座(射手座、獅子座、牡羊座)の前を月が通過する日に相当します。ワインの香りが最も開くことからビン詰めに最適な日とされており、この作品のビン詰めが「果実の日」に行われたことを表しています。(尚、「果実の日」はワインを飲むのにも最適な日とされています)。
’21マス・オネジム ジュール・フリュイ¥2.860-
(フルボディ)AOC Faugères。サンソー55%、シラー45%。4ha。標高300メートルの南向き丘陵斜面畑。シスト(片岩)質土壌。平均樹齢30年。収量は30hl/ha。ステンレスタンクで醸造。作品名の「ジュール・フリュイ」はビオディナミカレンダーにおける「果実の日」のことで、ラベルに描かれた「火のエレメント」の星座(射手座、獅子座、牡羊座)の前を月が通過する日に相当します。ワインの香りが最も開くことからビン詰めに最適な日とされており、この作品のビン詰めが「果実の日」に行われたことを表しています。(尚、ワインを飲むのにも最適な日とされています)。
*これも癖のない素直な濃さがあります。
ドメーヌ・ド・ロリヴェット
マルセイユから地中海に沿って東に30km、バンドール地区のル・カストレ村に1750年から続くヴィニュロンの名門で、1941年にAOCとなった「バンドール」各ワインのパイオニアの1社として、つとに名高いドメーヌです。 2005年にドメーヌを継承した10代目(!)ジャン・リュック・デュムティエは、翌2006年から実質ビオロジックの厳格なリュット・レゾネ栽培を開始。2014年にはHVE(Haute
Valeur Environnementale)」の最高段階「レベル3」の認証を取得し、環境に優しいワイン造りを実践しています。
’23ドメーヌ・ド・ロリヴェット コート・ド・プロヴァンス ロゼ¥4.180-
(辛口)AOP Côtes de Provence。ラ・カディエール・ダジュール村産のムールヴェードル50%、グルナッシュ50%のブレンド。1.52ha。粘土石灰質土壌。平均樹齢30年。収量は45hl/ha。直接圧搾法によるロゼワインです。ステンレスタンクで醸造。
*クリーンな味わいで、後口に良質な渋みがすこしある。
’22ドメーヌ・ド・ロリヴェット テロワール ルージュ¥2.970-
(フルボディ)<右掲の通りラベルデザインは3ターンあります。中身は同じワインです>IGP Méditerranée。ムールヴェードル90%、グルナッシュ7%、シラー3%。10ha。粘土石灰質土壌。平均樹齢20年。収量は60hl/ha。ステンレスタンクで醸造。
*味わいのバランスが良いです。
クリストフ・コスト
「栽培も醸造もすべて尊敬する父から学びました。父の教えの極意は、とにかく最高品質のぶどうを育成することに尽きます。ワインの味わいのバランスは、もともとのぶどうの成分のバランスで決まります。長期熟成の可能性も、このバランスに左右されます。出来立てから美味しいワインこそが長期熟成しても美味しいワインであり、そのようなワイン造りを旨としています。大自然が魔法のように作ってくれたバランスを崩さないよう、SO2の使用も最小限に抑えています」。
’23クリストフ・コスト マドモワゼル・チャチャ¥3.100-
(フルボディ)Vin de France。カラドック90%、シラー10%。サズ村に2ha。石灰質土壌。樹齢約10年。収量は40hl/ha。ステンレスタンクで発酵後、6ヶ月間熟成。SO2の使用は必要最小限。作品名の「チャチャ」は次女のシャルロットちゃんの愛称です。 *補助用の品種が主ですが、これがどうしてなかなか後の渋みがぐっとあって、良いです。
ドメーヌ・オー・ヴァントナック
「フラン・コート・ド・ボルドーは、ボルドー最小のアペラシオンとして知られます。ローム質の表土の下に分厚い粘土質の下土層がそびえる特徴的な土壌で、保水に優れ、ジューシーでしなやかなワインを生むテロワールです」。 「大学で森林や河川の管理学を専攻したこともあり、生物多様性を心から尊重し、実現に努めています。多彩な植物をぶどう樹と共生させている他、生け垣を設置することで多様な生物が集まり、共存できる環境を整えています。5箱の巣箱でミツバチを飼育し、ハチミツも生産しています。年によって畑で羊の放牧も実施します。すべての動植物たちの恩寵を受けて、そのまま食べても美味しい、健康で生命感に満ち溢れたぶどうが生まれます。尚、ラベルに採用している鹿は、森の王であり、大自然の守護者です」。
’20ドメーヌ・オー・ヴァントナック キュヴェ・ロータンティック¥3.520-
(フルボディ)AOC Francs Côtes de Bordeaux。メルロ90%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%、カベルネ・フラン5%のブレンド。タヤック村に5ha。粘土質土壌。平均樹齢40年のVV。収量は45hl/ha。コンクリート製タンクで発酵後、12ヶ月間熟成。*やや軽めな造りで、目の粗い渋みと共に好感が持てます。
ドベーラ
「ドベーラ」の製造は、ベースとなるロゼワイン造りからはじまります。シビーノ社の選択は、ペネデスにおける赤ワイン用ぶどうの王道品種ガルナッチャと、その上品な果実味が近年になって大きく見直され、劇的な復興が進みつつあるこの地の在来品種トレパットの、黄金ブレンド。スペインの陽光の下で完熟したこの2品種のぶどうをプレスし、良質なロゼワインを造ります。その後、約1ヵ月間にわたって展開する二次発酵(=発泡化)期間中に、ピューレ状にしたいちごを浸漬させることで、いちごの風味がたっぷりとワインに取り込まれます。
ベテラン醸造家のシルビア・フレイシェーダスさんは、スペインにおける女性醸造家の先駆けのひとり。「どうしても、同性に飲まれることを常に意識してしまうわね(笑)。食べること、飲むことが大好きな私の友人達に、心から美味しいと言ってもらえるワインを造りたいと、いつも思っています」。
NVドベーラ ドベーラ ¥2.640-
(ほのかな甘口)Vino Espumoso Rosado。平均樹齢約25年のペネデス産ガルナッチャ50%、トレパット50%のブレンドによるロゼワインのタンク内二次発酵時に、ピューレ状にしたスペイン産のいちごを浸漬した、天然いちご風味の甘口スパークリングワインです。ドザージュは約50g/l。6~8℃に冷やしてお召し上がりください。 *素直でほのかな自然のイチゴの風味が美味しい!!
キュヴェ・ヴェガンヌ
ビーガンの方向けの特別作品です(「VEGAN」認証取得)。地元ユナウィール村の畑からのピノ・ブラン100%。泥土石灰質土壌。平均樹齢35年。収量は約50hl/ha。フードルで発酵後、9ヶ月間熟成。ビン詰め時にのみ極少量のSO2を使用。柑橘系の爽快な果実味と合わせて、バターのようなコクもお楽しみいただける、万能型の白ワインです。
’21テール・デトワール キュヴェ・ヴェガンヌ ¥4.840-
(辛口)ビーガンの方向けの特別作品です(「VEGAN」認証取得)。地元ユナウィール村の畑からのピノ・ブラン100%。泥土石灰質土壌。平均樹齢35年。収量は約50hl/ha。フードルで発酵後、9ヶ月間熟成。ビン詰め時にのみ極少量のSO2を使用。柑橘系の爽快な果実味と合わせて、バターのようなコクもお楽しみいただける、万能型の白ワインです。
*嫌みの無い素直でクリーンなコクが良い。
リュドヴィク・ラトレイト
「まずはリュット・レゾネ栽培を実践しながら、畑の特性、テロワールの理解に努めました。この間、ぶどう樹の仕立てについてもあらゆる可能性を検討し試行錯誤した結果、リール(リラ)方式(写真下)を採用することにしました。ぶどう樹をY字型に仕立てるこの方式は、風通しが良いため湿気や病害に強く、1枚1枚の葉に日光がしっかりと当たるのでぶどうが完熟しやすいという大きなメリットがあります。半面、作業に膨大な手間がかかるのと、スペースを余分にとるので収穫量が激減してしまうというデメリットがあり、地価が高いブルゴーニュではほとんど見られない仕立てです。少なくともシャブリ&グラン・オーセロワ地区では僕だけだと思います」。
「畑では3匹の豚を放し飼いにしています。彼らは雑草の根を食べてくれるだけでなく、鼻で土を掘り返し、土の中にたくさんの空気を取り込んでくれます。ビオロジック栽培には欠かせない僕の相棒たちです」。 ふっかふかの土壌そして贅沢な仕立てから生まれるぶどうは生命感の躍動に輝き、ナチュラルな醸造によって姿を変えたそのワインは繊細でありながら力強く、深い満足感と癒しを与えてくれます。
’22リュドヴィク・ラトレイト ブルゴーニュ トネール ブラン レ・ヴォー・ド・ローモンヌ ¥4.730-
(辛口)トネール村のリウ・ディ「レ・ヴォー・ド・ローモンヌ」産のシャルドネ100%。0.7ha。粘土石灰質土壌。樹齢約25年。収量は35hl/ha。ステンレスタンクで発酵後、7ヶ月間熟成。
*酸味とコクのバランスが良い。
モド・ギヨン
「モド家は1820年からぶどう栽培を営んでおり、私は6代目になります。ドメーヌの礎を築いてくれた祖父の代まで、200年近くにわたって畑を完璧に手入れし続けており、またフェルマージュ先もそれを継続してくれたため、樹齢60~80年のヴィエイユ・ヴィーニュが理想的な姿で現存しています。ぶどうは茎まで完熟しますので、全房発酵のメリットを完全に享受することができます。また、シャンボール・ミュジニーの命である極めて豊富なミネラルを、ぶどうにたっぷりと取り込むことができます。ブルゴーニュトップレベルの栽培・醸造を実践している修行先で、本物のブルゴーニュワインとは何かということについて十分に考える機会を得ました。私は、本物のシャンボール・ミュジニーを造っていきます」。
’22モド・ギヨン コトー・ブルギニヨン オー・バタイユ ルージュ¥6.270-
(フルボディ)ピノ・ノワール100%。ジイィ・レ・シトー村のリウ・ディ「オー・バタイユ」より。0.2ha。樹齢約80年の超VV。収量は50hl/ha。除梗しない(全房発酵)。エナメル製タンクでアルコール発酵後、350リットルの樽でマロラクティック発酵&14ヶ月間熟成。新樽率は40%。無清澄・ノンフィルターでビン詰め。
*やはり樹齢80年が効いてるのかまろやかさとコクのバランスが絶妙。
パコー・ヴィニュロン
「創業から66年もの歳月を経て、晴れて自分たちのワインを造るのですから、ビオロジック栽培とビオディナミは大前提だと考えていました。醸造は極力自然に行い、キュヴェによってはSO2の使用を極少量に抑えたヴァン・ナチュールに進化させています。健全な美味しいヴァン・ナチュールを作るために、(フランス農務省やINAO等のフランス当局が10年の歳月を経てヴァン・ナチュールを公式に定義・認可した)「Vin méthode Nature」にも加盟しています」。
’20パコー・ヴィニュロン プイィ・ロシェ レ・ミュール¥7.100-
(辛口)0.8ha。シャルドネ100%。平均樹齢50年のVV。収量は45hl/ha。60%をステンレスタンクで、40%をDemi-Muid(500リットルの樽)で発酵&10ヶ月間熟成。
*酸は強いが全体のバランスが良い。
ドメーヌ・コトー・デ・マルゴ
「ほとんどの樹は、樹齢50~70年のヴィエイユ・ヴィーニュです。半世紀以上にわたってこの地に根を下ろしてきたヴィエイユ・ヴィーニュこそがテロワールの真髄ですので、近年はセレクション・マサル(マス選抜)を実施して、これらの樹を永続させることに注力しています」。
ヴィエイユ・ヴィーニュは、大地の滋味滋養がぎっしりと詰まった濃密なぶどうを生み出してくれます。そのぶどうに清潔でナチュラルな醸造を施すことで、はちきれんばかりのみずみずしい果実味が口いっぱいに溢れるような、ハチミツのようなコクに思わず笑みがこぼれてしまうようなワインへと昇華します。
’23ドメーヌ・コトー・デ・マルゴ マコン・ピエールクロ ラ・ピィ・コル¥5.100-
(辛口)ピエールクロ村のリウ・ディ「オー・モネ」と「オー・マルゴ」より。合計1.5ha。粘土石灰質・花崗岩質土壌。平均樹齢50年のVV。収量は55hl/ha。50%をステンレスタンクで、40%を300リットルの樽で、10%を砂岩製のアンフォラで発酵&9ヶ月間熟成。作品名は「大酒のみのカササギ」(picol(大酒飲み)にかけたもの)という意味で、華やかな香りと豊かなコクが特徴的なこのワインをついつい飲み過ぎてしまう様子を表しています。
*少し渋みは強いがバランスが取れている。