セリエ・ド・ラ・バラトリ (ジュリアン・ヴィアナ)

サヴォワ地方南部、「ヴァン・ド・サヴォワ」の17のクリュのひとつでもあるクリュエ村に、2014年に誕生した新星ドメーヌ
です。  継承する畑を持たなかったジュリアン・ヴィアナは、通常の栽培・醸造学の他に特別な栽培の学位(Licence de Pro Viticulture)を修めた後、アルバンの「シャトー・ド・メランド」での修行を経て、出身地クリュエのリウ・ディ「ラ・バラトリ」に0.8haの畑を購入して自身のドメーヌを設立しました。その後フェルマージュなどによって栽培面積を拡大しながら、すべての畑をビオロジック栽培に転換。最短の2017年に「セティパック・ビオ」の認証を取得しました。 

 「畑仕事は嘘をつかない。僕の座右の銘です。化学肥料や農薬は一切使用せず、この地サヴォワの大自然の結晶としてのワインを造りたいと思っています」。 
’23ジャケール・ド・マセラシオン オレンジ¥4.620-
AOC Vin de Savoie。ジャケール100%のオレンジワインです。フレトリーヴ村に0.1ha。粘土石灰質土壌。平均樹齢25年。収量は50hl/ha。ステンレスタンクで2週間のマセラシオン発酵後、5ヶ月間シュール・リー熟成。SO2は不使用。

ヴィニョーブル・ヴェラス

「卓越性、信頼性、革新性を追究し続けることが私のモットーです。飲んでくださる方の本当の感情を解放するワインを造りたいと思っています」。
 ご紹介する「ミセス・シーフード」は2018年にリリースされたフラッグシップワインのひとつで、グループの本拠地でもある最主力ドメーヌ「マス・デュ・ポン」で醸造されています。
’23 ミセス・シーフード¥3.400-
ルーサンヌ60%、マルサンヌ30%、ヴィオニエ10%。リュネル村に30ha。粘土石灰質土壌。平均樹齢20年。収量は60hl/ha。ステンレスタンクで発酵後、6ヶ月間熟成。清澄は行わず、軽くフィルターをかけてビン詰め。

クリストフ・シュヴォー

正直言うと毎回会うのが怖い、超ド級の頑固職人ベルナール・シュヴォーは、1962年から1992年までの30年間、DRC社の正社員として栽培・醸造の両面で同社の礎を築いてきました。定年後も1998年まで契約社員として引き続き勤務し、その期間中に彼から学んだアンリ・オーディフレッド(1993年入社)曰く、「仕事は盗んで覚えろ、というような根っからのアルティザンで、ほとんど何も教えてくれませんでした。ですので、実際にあの親父さんから盗んで覚えました(笑)。特に畑仕事に関しては神様のような人でした」。
 ベルナール・シュヴォーはDRC社勤務の傍ら、1966年にヴォーヌ・ロマネ村に小さなドメーヌを拓き、休日や夜間に細々とワイン造りを続けてきました。
 ちなみに彼の奥さんも元DRC社員で、職場結婚でした。また、夫妻には4人の息子と2人の娘がいますが、長男、次男、三男は、現役のDRC社員です(!)。
1992年、24歳になった四男のクリストフを、設立3年目を迎えていた「プリューレ・ロック」のアンリ・フレデリック・ロックの元へ修行に出し、10年後の2001年に、このクリストフが実家のドメーヌを継承することになりました。
「10年間、正社員としてプリューレ・ロックに勤務しました。父から教わったDRCにおける栽培と醸造、そして、実際に僕がロックで携わってきた栽培と醸造は、多くの点で実によく似ています。そのほぼすべてを、僕のドメーヌでも採用しています。というかそのやり方しか知らないので・・・。ただ、家族で細々とやっているドメーヌで栽培担当者を何人も雇うことはできないので、完全なビオロジーは難しく、身の丈に合ったリュット・レゾネに取り組んでいます。あと、SO2をまったく入れないのは醸造中に酸化するリスクが極めて大きいので、僕は必要最小限、使うようにしています」(クリストフ・シュヴォー)。
 オーディフレッドの畑もそうですが、プルミエ・クリュもグラン・クリュも持っていないシュヴォーの村名畑が、DRCの畑ばりに深々と、ごっそりと耕されているのを見ると、本当に呆気にとられます。
 「とにかく畑を耕して耕して、土に空気を取り込むことです。それが基本中の基本で、かつ、最も大事なことです。除草剤も殺虫剤も必要ありません」。
 どんな味わいのワインを造りたいのですか?との質問には、「doux et souple」(優しくしなやかなワイン)との即答。試飲すると、口当たりは確かにdoux et soupleですが、旨味が後から後から途切れることなく湧き上がってきます。
’22ブルゴーニュ ブラン¥7.370-
フラジェ・エシェゾー村のDolleyに0.05ha。樹齢30~70年のVV。3回使用樽で15~16ヶ月間の熟成。年間600本のみの限定生産品。

ボニー・ガショ(ジャン・ピエール・ボニー)

1963年、ジャン・ピエール・ボニー氏がニュイ・サン・ジョルジュ村に創業したドメーヌで、以来ずっと生産量のほとんどをネゴシアンに販売してきました。
しかし氏が2001年に急逝、それまで薬剤師をしていた娘のファビエンヌ・ボニーが急遽跡を継ぐことになり、ドラマが始まりました。 
ファビエンヌは、オーストラリアの複数のワイナリーで研修した後に一念発起、本格的に自社ビン詰めを開始しました。
当初から「土を感じるとか、力強いとかではなく、それこそシャンボールのようにピュアで女性的なニュイ・サン・ジョルジュを造りたいのです」と確固たる信念を持っていた彼女は、この難題に何年間も挑戦し続けてきました。それは、幼い娘さんを3人抱えながらの、母としての戦いでもありました。

’21ブルゴーニュ ブラン¥4.950-
ニュイ・サン・ジョルジュ村内の0.17haの区画より。平均樹齢60年のVV。粘土石灰質土壌。ステンレスタンクで発酵後、228リットルの樽でマロラクティック発酵&8ヶ月間樽熟成。

ビーニャ・カルティン

「アルバリーニョ」は、マロラクティック発酵を完了させて桃やアプリコットのような濃密な果実味にスポットライトを当てた作品で、美しい酸やたっぷりとしたミネラルの塩味との均整なバランスが長い余韻に導きます。
「テラス・ド・ランターニョ・アルバリーニョ・ブリュット・ナトゥーレ」は、アルバリーニョ種としては極めて珍しいシャンパーニュ方式によるスパークリングワインで、花束のような芳香、および完熟したリンゴやマンゴーのような上質な風味を、細やかな泡とともにご堪能いただけます。
NVテラス・ド・ランターニョ アルバリーニョ ブルット・ナトゥーレ ¥4.840-
シャンパーニュ方式によるスパークリングワインです。DOリアス・バイシャス。サブゾーン「バル・ド・サルネス」産のアルバリーニョ100%。花崗岩質、砂質、頁岩質土壌。平均樹齢約20年。ステンレスタンクで醸造。30ヶ月間以上ビン熟成。ドザージュはゼロ。

エティエンヌ・ドラルシュ

「木製発酵槽の使用など、父の伝統的でシンプルな醸造法は変えるつもりはありません。また、厳格なリュット・レゾネによる栽培も引き継ぎます。
ただ、将来的なビオロジック栽培への転換の可能性も含め、もっともっと畑に出て土壌を活性化していきたいと思っています」。
 シャトー・ド・ボーカステルでの修行経験もあるというエティエンヌは、25歳にして、甘い点など微塵も感じられない一人前のヴィニュロンの風格。
これからのペルナンを背負って立つ男です。
’22ブルゴーニュ アリゴテ¥3.630-
ペルナン・ヴェルジュレス村内の区画で0.2ha。石灰質土壌。平均樹齢15年。50%をステンレスタンクで、50%を2~4回使用樽で醸造し、12ヶ月間熟成後にブレンド。

ジャン・ミッシェル・デュプレ

モルゴン、レニエ、ボージョレ・ヴィラージュなどに合計20ヘクタールの畑を所有しています。2014年よりその全面積でビオロジック栽培を開始し、2018年に「Alpes Contrôles」の認証を取得しました。 「ぶどう畑一帯の生物多様性と生態系の保護を何よりも大切にしています。
ここに咲くすべての花、ここに生きるすべての小動物や微生物たちと一緒にぶどうを育てています。また、放牧している羊たちも大事な仲間です」。
 「ワインの品質は、ぶどうの質によって決まります。ぶどうの質は、どれだけ畑仕事に精魂を込めたかによって決まります。
私は畑仕事におけるいかなる手間も困難も、避けず、恐れず、真正面から取り組むことを天命と考えています」。 
醸造は温度変化が緩やかなコンクリート製タンクや樽を使用して、精密かつナチュラルに行っています。
また近年は、SO2の使用も必要最小限に抑えています。 ご紹介する作品は、この職人が持てるすべてを投入してシャルドネ100%で醸した、極めて完成度の高いオレンジワインです。
 「数年間試行錯誤した結果、40%ほど樽で熟成させると最も美味しくなることがわかりました。「ぶどう」から造られた「オレンジ」ワイン・・・グラスから立ち上がるのは「レモン」や「桃」の香り・・・オレンジワインは本当に魅惑的で楽しいワインだと思います」。
 作品名の「Le temps des Oranges」(オレンジの実る頃)は、シャンソンの歌曲「Le temps des Cerises」(さくらんぼの実る頃)にかけたものです。(スタジオジブリの映画「紅の豚」の劇中でジーナが歌っていた曲です♪)。
’22ボージョレ・ヴィラージュ ブラン¥3.850-
AOC Beaujolais Villages Blanc。レニエ地区の高名なリウ・ディ「オート・ロンズ」産のシャルドネ100%。1.3ha。粘土質・花崗岩質土壌。樹齢約10年。コンクリート製タンクで発酵後、エナメル製タンクで8ヶ月間熟成。無清澄・ノンフィルターでビン詰め。SO2の使用は最小限。