イヴ・アンベルグ

ストラスブールから南西に30km、エプフィグ村に1960年に創業したドメーヌで、1989年より2代目のイヴ・アンベルグが運営しています。
 早1997年よりビオロジック栽培を開始し、2001年に「エコセール」の認証を取得。2017年から、SO2を一切使用しないヴァン・ナチュールへの取り組みを開始しました。
 本当に気さくで超いいヤツのイヴですが、「いろいろなワインを飲んで勉強することと、栽培や醸造に使えそうなモノを探し求めて古道具屋を巡ることが趣味」という、根っからのワイン職人です。
 「この地の恵まれたテロワールのポテンシャルをもっと引き出すことはできないか。ワインの味をもっとナチュラルに、もっと鮮やかに、もっと薫り高くすることはできないかと考え続けて、ヴァン・ナチュール、そしてオレンジワインにたどり着きました。いろいろやってみるうちに、SO2や各種添加物、最新技術を使用せずとも健全な醸造を行う手法が確立でき、オレンジワインのマセラシオンのバランスなども皮膚感覚で分かるようになりました。地元だけでなく世界各国のお客さんからも望外の大好評をいただけるようになり、新しいチャレンジも含めてナチュールやオレンジワインの可能性をさらに追及していきたいと思います」。
 尚、イヴは、フランス農務省やINAO等のフランス当局が、10年の歳月を経て、2020年に遂にヴァン・ナチュールを公式に定義・認可した「Vin methode Nature」の認証を取得しています。その作品は風味健全で、かつ、ヴァン・ナチュールならではの柔らかさと滋味、野趣、そして醍醐味に溢れた、心踊らされるものです。
 ラベルの絵は、イヴが骨董市で見つけて一目惚れした絵画シリーズで、自身で出品していたブルターニュの女性画家「クリスラン」(http://www.chrislen.com)とその場で意気投合して採用が決まったものです。
’21イヴ・アンベルグ リースリング ナチュール ¥4.400-
エプフィグ村産のリースリング100%。沖積土壌。平均樹齢50年のVV。収量は40hl/ha。除梗しない。ステンレスタンクで醸造。SO2は不使用。
’21イヴ・アンベルグ アンサンブル ナチュール ピノ・ノワール ピノ・グリオレンシ¥4.400-
エプフィグ村産のピノ・ノワール50%、ピノ・グリ50%。石灰質・沖積土壌。平均樹齢40年のVV。収量は40hl/ha。両品種ともに除梗せず破砕した後、ステンレスタンクで14日間混醸マセラシオンした、色合い濃い目のオレンジワインです。緑色ボトル。SO2は不使用。
’21イヴ・アンベルグ ピノ・ノワール ナチュール¥4.830-
エプフィグ村産のピノ・ノワール100%。沖積土壌。平均樹齢50年のVV。収量は40hl/ha。除梗100%。ステンレスタンクでアルコール発酵後、228リットルの樽でマロラクティック発酵&10ヶ月間熟成。SO2は不使用。
ベルトラン&ヴァンサン・マルシュソー
マルシュソー家はブルグイユ村に1930年より続くぶどう栽培家で、1965年に自社ビン詰めを開始、2001年に、3代目となるベルトラン(写真左)とヴァンサン(写真右)の兄弟が継承しました。ブルグイユとサン・ニコラ・ド・ブルグイユおよびシノンに合計22ヘクタールの畑を所有しており、2012年以降、その全面積でビオロジック栽培を実践しています。
 「多様な料理とのマリアージュを楽しめる、ピュアで繊細なワイン造りをフィロソフィーとしています。ブルグイユの畑は、大きく「ラ・ヴァレ」「ラ・テラス」「レ・コトー」の3つに分類できますが、僕たちの畑は、最も華やかで上品なワインを生む「ラ・テラス」にあります。シノンの畑は、ヴィエンヌ川右岸のサヴィニー・アン・ヴェロンにあり、砂質土壌から、ピュアで洗練されたワインが生まれます。ビオロジック栽培を開始してから、口当たりはより繊細になり、果実味はよりピュアで美しく、余韻はより深く、長くなりました」。 
 彼らのワインは、地元ロワールやパリの数百軒におよぶレストランやビストロで楽しまれており、彼らもそのことを誇りに思っています。 
 「毎年多くのシェフやソムリエがドメーヌを訪れてくれます。彼らが話してくれる、新しいマリアージュの発見や、お店で僕たちのワインを飲んでくれたお客様の感想などが、大きな励みになっています。また、ワインラヴァーがSNSで僕たちのワインをお勧めしてくれることも多くなりました。僕たち造り手にとっては、飲み手の生の声がすべてですので、特定のテイスターの評論である伝統的なワイン雑誌やガイドには出品しないことにしています。いつかぜひ日本を訪れ、日本のワインラヴァーの皆さんと一緒に、和食とのマリアージュを体験してみたいです!」(以上ヴァンサン・マルシュソー)。
’22ベルトラン&ヴァンサン・マルシュソー ブルグイユ ロゼ リュブリフィアン・ソシアルロゼ¥3.300- 
カベルネ・フラン100%。1.5ha。テュフォー(白亜(石灰岩)質)基盤の砂礫質・砂質土壌。平均樹齢20年。50%セニエ法、50%直接圧搾法によるロゼワインです。ステンレスタンクで醸造。作品名の「リュブリフィアン・ソシアル」(社会の潤滑油)は、ジャン・クラヴェルの著書「モンディアリザシオン・デ・ヴァン(ワインのグローバル化)」に出てくる一節「Le vin est un lubrifiant social」(ワインは社会の潤滑油である)に兄弟が深く共感し、著者の同意を得て採用したものです。
’22ベルトラン&ヴァンサン・マルシュソー シノン ブラン ¥4.620-
シュナン・ブラン100%。サヴィニー・アン・ヴェロン村に5ha。砂質・粘土石灰質土壌。平均樹齢10年。228リットルの樽で発酵後、9ヶ月間熟成(新樽率20%)。ラベルの電球は、フランス人が良いアイデアを思いついた時によく使うアイコンで、「ぜひいろいろなお料理と合わせていただき、新しいマリアージュを発見して楽しんでいただきたい」というマルシュソー兄弟の思いが込められています。

ジャン・フランソワ・ディコンヌ
 ディコンヌ家は、シャサーニュ・モンラッシェ村に南接するルミニー村に1852年から続くぶどう栽培家です。1982年に自社ビン詰めを開始し、2010年より5代目となるクリストフとヤン(写真)の兄弟が運営しています。
 「祖父母や両親たちも含めて、私たちの家族全員がナチュラルで繊細な味わいのワインが好きなので、造るワインもおのずと私たち自身が飲んで美味しいと思うスタイルになります。シャサーニュ・モンラッシェ・ブランの生産者の多くは、ぶどうを早めに収穫して酸を多く残し、補糖をした後バトナージュによってコクを出すという考え方でワインを造っていますが、私たちはぶどうを完熟させることにこだわっており、この辺りでは最も遅く収穫を開始するドメーヌのひとつです。ぶどうを完熟させた方が、酸と糖の自然なバランスを得ることができますし、ぶどう本来の果実味による豊かなコクを引き出すことができます。また、料理に合わせる際の鍵となる、たっぷりとしたミネラルも失われません。赤ワインについてもぶどうを完熟させることはもちろん、ピジャージュを行わずルモンタージュだけで醸すことで、ぶどう本来の美味しさや滋味を自然に引き出すようにしています。このようなスタイルのワインは女性に好まれるのか、私たちのお客様のほとんどが女性です」。
 「長らく愛飲していただいているお客様の分だけでもワインが足りていないところに、ワインメディアに掲載されてしまうとそのワインだけが即完売してしまうので、ガイド等には一切出品しないことにしております」という彼らに最初にコンタクトをした際、「日本からご連絡をいただいて本当に嬉しく思いますが、私たちのことをどうやって知ったのですか?(笑)というか、オークセイ・デュレス村にあるもう一つの「ドメーヌ・ディコンヌ」とお間違えじゃないですか?」と真剣に聞き返されたほどの、真に知られざる一流生産者。極少量になりますが、満を持してご紹介します。
 尚、印象的なラベルの絵は、彼らの友人のアーティストが彼らのために描いてくれたものです。
NVジャン・フランソワ・ディコンヌ クレマン・ド・ブルゴーニュ¥4.730-
アリゴテ70%、ピノ・ノワール30%のブレンド。地元ルミニー村と東隣のシャニー村に合計0.75ha。平均樹齢40年のVV。収量は40hl/ha。ステンレスタンクで醸造。18ヶ月間以上のビン熟成。MCR(濃縮果汁)によるドザージュは7g/l。
NVジャン・フランソワ・ディコンヌ クレマン・ド・ブルゴーニュ ロゼ¥4.730-
アリゴテ70%、ピノ・ノワール30%のブレンド。地元ルミニー村と東隣のシャニー村に合計0.75ha。直接圧搾法によるスパークリング・ロゼワインです。平均樹齢40年のVV。収量は40hl/ha。ステンレスタンクで醸造。18ヶ月間以上のビン熟成。MCR(濃縮果汁)によるドザージュは35g/l。
’19ジャン・フランソワ・ディコンヌ ブルゴーニュ ブラン レ・グランド・テール¥4.730-
AOPシャサーニュ・モンラッシェの畑から200mのところに位置する地元ルミニー村のリウ・ディより。0.25ha。平均樹齢35年のVV。収量は45hl/ha。ステンレスタンクでアルコール発酵後、樽でマロラクティック発酵&12ヶ月間熟成。新樽率は25%。

’21ジャン・フランソワ・ディコンヌ ブルゴーニュ アリゴテ ヴィエイユ・ヴィーニュ¥4.180-
ルミニー村内の区画より。0.57ha。樹齢は100年以上(!)。収量は20hl(!)。ステンレスタンクでアルコール発酵後、樽でマロラクティック発酵&10ヶ月間熟成。新樽率は30%。

ドメーヌ・デ・トレーズ・リュンヌ
グラニエ山麓のシャパレイヤン村に2016年に創業した、超新星自然派ドメーヌです。継承する畑を持たなかったシルヴァン・リオタールは、DRCやルフレーヴらにビオディナミを伝授した巨匠ピエール・マッソンの実子にして後継者、ヴァンサン・マッソンにビオディナミを師事した後、錚々たるアペラシオンの古樹畑を購入する幸運に恵まれ、「ドメーヌ・デ・トレーズ・リュンヌ」を設立しました。
「13の月というドメーヌ名も、ビオディナミの基本となる月の運行に由来しています。大地、海、そして動植物の活動は月のリズムに連動しており、私のすべての仕事もこのリズムに対応させています」。
合計5.65ヘクタールの畑にはジャケール、アルテス、モンドゥーズといったサヴォワ主要品種の古樹が輝き、「クリュ・アプルモン」「クリュ・アビーム」「ルーセット・ド・サヴォワ」といったフラッグシップ以外にも、意趣あふれるラインナップを展開しています。51軒ものミシュラン星付きレストランを抱えるフランスきっての美食の地サヴォワにあって、彼のワインはファーストヴィンテージから大きな話題となり、3つ星「フロコン・ド・セル」を筆頭に多数のレストランのワインリストを飾っています。 偉大なヴィニュロンのオーラを早くも纏いはじめている彼のワインは、豊潤にして深奥。サヴォワ特有の控えめなアルコール度数も相まって、日常の食事から究極的美食まで、純然たるマリアージュの悦びを提供してくれます。
’23ペット・ナット 13 ビュル\4.950-
ポルト・ド・サヴォワ村産のジャケール100%。粘土石灰質土壌。樹齢40年以上のVV。除梗しない。ステンレスタンクで発酵開始後、6ヶ月間の瓶内発酵熟成。SO2は不使用。

フィリップ・ロベール
マルサネ・ラ・コート村とフィサン村に挟まれたクシェ村に1952年に創業したドメーヌで、1989年に3代目フィリップ・ロベールが継承。同年よりリュット・レゾネ栽培を徹底し、畑仕事に精魂を込めています。

「タンニンをたっぷりと抽出し、かつ舌触りはシルキーで滑らか、というワイン造りを是とします。タンニンはコクとなって果実味を支え、お料理との相性を抜群にしてくれます。また、微酸化作用を得るため新樽比率を高めにしていますが、ライト・トースト(内側をあまり焼かない樽)にこだわって使用しています。このあたりのコンビネーションは、今年30年目を迎えた私が長い年月をかけて体得したものです」。
味わいの各要素が高次元で調和する匠の作品を求めて、2000人を超える愛好家が顧客名簿に名を連ねます。ゆえに日本では真に知られざる存在でしたが、2015年に、息子のジュアン君がドメーヌに参画したことで、少しずつ輸出にも目を向けられるようになりました。 (尚、フィリップの姪オロールが「ルー・デュモン」の元看板娘(従業員)だったり、マルサネの所有区画が隣同士だったりと、なにかと「ルー・デュモン」と縁があるドメーヌでもあります)。
’22フィリップ・ロベール マルサネ ルージュ レ・ジュヌリエール ¥7.000-
0.17ha。平均樹齢50年のVV。コンクリート製タンクでアルコール発酵後、新樽率20%でマロラクティック発酵&12ヶ月間熟成。