高い熟度と薫り高さ!世界有数のヴィオニエの銘醸地コンドリューでわずか一代でトップ生産者に上り詰めた凄腕ワイナリー!
創業わずか30年足らず
コンドリューのトップ・ドメーヌの一つに数えられるフランソワ・ヴィラールですが、意外にもその歴史は彼一人の手によるものです。元々シェフ、ソムリエとしてレストランに従事していた彼は著名なソムリエ達と交流する中でワインへの情熱を宿すようになり、ついに1989年にコンドリューの第一人者であるイヴ・キュイユロン氏に師事し、自らの畑を購入します。初リリースは1991年、わずか400本のスタートでしたが、その後めきめきと頭角を現した彼のワインは瞬く間に世界中の注目を集め、高い評価を受けるようになりました。
上級区画「ポンサン」の畑
コート・ロティのすぐ南、ローヌ河を眼下に見下ろす急斜面にコンドリューの畑はあります。アペラシオンの名前の由来となっているコンドリュー村を北端に、ヴェラン、サン・ミッシェル・シュル・ローヌ、ヴェルリュー、シャヴァネといった村々が、AOPコンドリューのエリアとなっています。土壌はコート・ロティと同じく花崗岩土壌から、雲母、片岩などで構成されています。
フランソワ・ヴィラールが所有するコンドリューの自社畑は全部で7ヘクタール、彼らの本拠地であり上級区画「ポンサン」があるサン・ミッシェル・シュル・ローヌ村の他に、ヴェラン村、シャヴァネ村、サン・ピエール・ド・ブフ村などに点在しています。標高は180から280メートルで、南東あるいは南向きです。
フランソワは「私たちが大事にしていることは、土とブドウがワインを通して自らを表現できるようにしてあげることです。そのためにサステーナブル農法を実践し、少しずつ畑での化学薬品の使用量を減らしてきています。素晴らしいワインを造れることに、誇りを持っています。」と語ります。
健全なブドウが、良いワインの源
「私の求めるものは、畑と土のキャラクターを反映した、確かな個性を持ったワインです。すなわち一つ一つのワインが全く違う個性を持ち、テイスティングをすればどれがどのワインかを見極められるようなものです。最終的な目標は、若くてフレッシュなうちから楽しむことができて、かつ長期熟成も可能な偉大なワインを造れるようになることですね。」と語ります。
コンドリューは樽で醗酵される
畑の個性がそのままワインに。
「素晴らしいワインに必要なものは良い土とブドウ」と語るフランソワ。醸造面では、そのテロワールのすばらしさを活かしたワイン造りを心がけています。
ブルゴーニュ樽
澱の旨味、複雑味が溶け込んだワイン
フランソワ・ヴィラールのワイン造りは、力強さよりもフレッシュさ、そしてフィネスを重んじます。彼のワイン造りの特徴は以下の通りです。
・天然酵母の使用
・人的介入はほとんどしない
・樽醗酵、長期間の樽熟成によって、樽の風味をなじませる
・澱とともに熟成し、頻繁にバトナージュを行う(白ワイン)
・全房醗酵かつ短期間のマセラシオン(赤ワイン)
その味わいは飲む者を魅了する
フランソワ・ヴィラールのワインが世に知れ渡ったのは90年代半ば、初リリースからわずか数年で彼のワインは評価誌の目に留まるようになります。中でも影響の強いのはロバート・パーカーJr.氏の著書「ローヌワイン」(万来舎、2000年)で高く評価されたこと。その中でパーカーは、フランソワ・ヴィラールについてこう記しています。
「ヴィラールは若くまじめな生産者のひとりで、知的かつ芸術的な方法でコンドリューをつくっている。(中略)表現主義的な、引き締まった構造をしたコンドリューであり、試飲会では力強さと凝縮感の双方で際立つワインである。」と。
パーカーはフランソワ・ヴィラールに4ツ星を、そしてコトー・ド・ポンサン(現「ドポンサン」および「ヴィッラ・ポンシアナ」)に最高評価となる5ツ星を与えています。同じく5ツ星を与えられたワインには、イヴ・キュイユロン(レ・シャイエ V.V.)、ギガル(ラ・ドリアーヌ)、ジョルジュ・ヴェルネ(コトー・デュ・ヴェルノン)などの銘酒が揃います。
近年のフランソワのワインは、どちらかというと「力強さと凝縮感」という言葉で表現されるよりも、アルコール度数も古典的なコンドリューよりも控えめで(13%前後)、バランスの整ったエレガントな造りであり、テロワールが忠実に再現されたワインと表現しうるでしょう。