サステナビリティを重視したワイナリーから土地の文化を伝える
2008年には、サステナビリティを重視したワイナリーを新たに建設し、自然に囲まれた場所へと移転しました。その理由は、「葡萄畑の景観を損なうことなく、この土地の美しさとワイン生産の文化を伝えるため」だと言います。建物は自然環境への影響が少なくなるように設計されており、木材を多く使用し、エネルギーの保全や、再生可能なエネルギーを利用することを重視しています。たとえば、地下には雨水をためる大型の貯水タンクがあり、この雨水を灌漑に再利用します。断熱材を使用することで熱の拡散を抑え、60〜70%もの熱エネルギーの節減を実現しています。屋根にソーラーパネルを設置し、太陽光発電を行っています。
スカンディアーノの丘陵地に広がる葡萄畑
アルフレード ベルトラーニでは、常に品質を重視し、この土地の特徴、個性を表現したワイン造りを行なってきました。エミリア ロマーニャ州は平地がほとんどを占め、丘陵地はわずか15%しかありません。アルフレード ベルトラーニは自社畑を持たず、10軒ほどの栽培農家と契約していますが、畑はすべて丘陵地に位置しています。このエリアは何世紀も前から、素晴らしい葡萄ができることで知られていました。理想的な日照があり畑には風が吹いていることや、昼と夜、そして季節ごとの気温差があること、粘土石灰岩質の土壌などのすべての要素が、トップクオリティの葡萄が育つ最高の条件をもたらしています。葡萄は果汁の状態で購入していますが、畑での作業内容や収穫のタイミングなどを農家と話し合いながら、ベストな状態になるように指示しています。長年にわたり緊密な関係を保っており、以前までベルトラーニ家が所有していた畑を所有している農家もおり、家族のような関係です。アルフレード ベルトラーニでは、量よりも品質を重視するため、収量制限を行い、高品質な葡萄を得ることにこだわりを持っています。
土着品種スペルゴラを樽で発酵、熟成させた、個性溢れる1本
’22モンテヴァンジェーロ エミリア スペルゴラ¥3.300-
(辛口)スペルゴラはスカンディアーノの地で何世紀にもわたって栽培されてきた古くからの土着品種です。葡萄畑はすべて丘陵地帯に位置しています。粘土とチョークの混ざる土壌です。収穫した葡萄は柔らかくプレスし、フレンチオークの小樽で発酵、熟成させます。ボトリング後、数ヶ月瓶熟させてからリリースします。良く熟した白い果実のアロマが広がります。口に含むと風味豊かでフレッシュ、十分な酸が全体を支えています。ボトルでの熟成によってさらに洗練されて素晴らしくなります。「モンテヴァンジェーロ」はワイナリーの近くにある山の名前から付けられており、ラベルにも山のモチーフが描かれています。アルフレード
ベルトラーニ イタリアIGP エミリア ロマーニャ スペルゴラ種 フレンチオークで熟成 12.50度
ワイン造りの哲学
「私たちは、安価なワインを大量に販売しようとは考えていません。安価なワインは、原料である葡萄の価格も低いといえます。葡萄の価格を低くするためには、収量制限を行なわず、大量生産すればよいということになります。また、葡萄の数が多くなると病害も発生しやすくなるため、殺虫剤を使って対応する生産者もいます。しかし私たちはあくまで、高品質なワインを造るためには、高品質な葡萄が必要だと考えているのです。収量制限をしっかりと行い、栽培農家と関係を築き、ベストな状態で収穫した葡萄を使用しています」と二コラは話していました。
伝統を活かすために技術を取り入れる
「ワイン、そして葡萄はヴィンテージごとに異なるキャラクターを持っています。祖父がやっていた時代と同じ仕事ではありますが、それだけではなく、必ず新しいことをするようにしています」とニコラは語ります。収穫した葡萄は、果皮についている天然酵母を使用するほか、このエリアに由来する選別酵母を使用することもあります。二コラは、ワイン造りにおける重要な点として、発酵と発酵の際の温度管理を挙げています。なぜなら、この工程はワインの香りや味わいに非常に大きな影響を及ぼすためです。使用するすべてのタンクはコンピューターによって管理されており、発酵工程を追跡できるようになっています。
ワインを安定させるため、最新式のフィルターを使用してボトリングします。また、より安全性を高めるために、ボトルやボトリングの機材に対し蒸気による殺菌を行なっています。ワインを加熱殺菌するパスツリゼーションとは異なり、設備を殺菌するためワインへ直接的な影響が出ないようにしています。また、これによりワインに添加するSO2の量を減らすことができ、ありのままの味わいを表現しています。さらに、ボトリングの際には窒素を充填して酸化から守り、品質を長くキープできるように工夫しています。このように醸造の工程は伝統的ですが、最新技術を用いて品質管理を行うことで、ワインをより良い状態で提供できるようにしています。